妊娠18週目~初めての公立診療所での診察~

☆2020年2月26日出産予定☆

先日、初めてブラジルの公立診療所に診察に行きました。

ブラジルの医療システムと個人医療保険

ブラジルの公立の病院は無料で受診できます。しかし、待ち時間が長く最低限の医療レベルのため、個人で医療保険に入り私立病院に行く人も多くいます。

私は無料で受けられるなら公立病院でもよかったのですが、旦那がなぜかかたくなに公立病院を嫌がるので、妊娠が発覚してから医療保険に加入しました。

しかしここには落とし穴があって、保険契約してから一定期間は保険がきかないサービスがあるのです。

保険会社によって期間は異なるのですが、最大で300日間は出産に対して保険がききません。なので、妊娠が発覚してから医療保険に入っても出産費用はカバーされないのです。

私の場合は契約してから2ヶ月ほど診察も検査も保険がきかない期間だったので、妊婦健診と血液検査も自費でした。

妊娠初期の血液検査は感染症などの検査など項目が多いため、それらの血液検査だけで全部で6万円ほどかかりました。

現在は血液検査や診察は保険でカバーされますが、エコー検査も300日間は自費です。1回1万円弱かかります。

そういうわけで、私立の産婦人科で妊婦健診を始めたのですが、保険で出産費用がカバーされないことを担当の医師に相談すると、その医師は近くにある公立病院で以前働いていたのでそこに紹介状を書いてくれることになりました。

その医師によると、そこの公立病院の産科はリオデジャネイロの中で一番出産数が多い病院だそうです。そこで、その公立病院に受診しに行きました。

公立病院での受診

公立病院:Hospital Maternidade Leila Diniz
公立病院:Hospital Maternidade Leila Diniz

紹介してもらったのは、Hospital Maternidade Leila Dinizという病院です。

しかし、グーグルマップで示された場所と少し違い、入口にも看板も何もなく、中に入っても薄暗い感じで『大丈夫かな…』と不安になりました。

受付で紹介状を持っていることを説明すると、産婦人科の前で待つように言われました。しばらくすると産婦人科の受付が始まったので紹介状を持っていることを説明すると、その紹介状あての医師は家族に不幸があったためその日はお休みだというのです。次の日には出勤するというので翌日また出直すことになりました。

翌日同様に病院を訪れ受付で事情を説明すると、今度は産婦人科のコーディネーターのところに案内されました。

そのコーディネーターによると、まずは公立の診療所を受診しなければならないということでした。それから、そこから紹介状をもらわないとこの病院は受診できないというのです。

後でネットで調べて分かったことですが、いわゆる総合病院(HOSPITAL)は診療所や救急センターからの紹介や転送、救急車での搬送でしかかかることができないそうなのです。なので、いきなり行っても受診はできないのです。

でもそれを紹介元の個人産婦人科の医者もうちの旦那も、病院の受付の人も知らないってどういうこと!?私には理解できませんでした…。最近変わった制度なのでしょうか。

とにかくそういうことで、まずは公立診療所に行くことになりました。

公立診療所

Clínica da Família José de Souza Herdy
公立診療所:Clínica da Família José de Souza Herdy

さらにネットで詳しく調べたところ、公立の医療システムで医療を受けるためにはSUSカード(Cartão Nacional de Saúde/CNS)という保険証のようなものが必要なのだそうです。

オンラインで事前に情報を入力すると手続きがスムーズだというので試してみたのですが、出生地がブラジルしか選べなかったのであきらめました。診療所に直接行っても作ってもらえるということだったのでとりあえず診療所に行くことにしました。

公立診療所は住んでいる場所によって管轄が決まっているので、他の地域の診療所に行くことはできません。私の地域の管轄はClínica da Família José de Souza Herdyというところです。

とてつもなくたくさんの人が待っているのかと思いましたが、行ってみるとそこまで混雑しておらず、15分ほどで受付をすることができました。

受付には身分証明書のほか、CPF(個人ナンバーのようなもの)、住所証明(公共料金の請求書など)が必要です。

受付からさらに1時間ほどで診察を受けることができました。ブラジルではたいていこういう手続き関係は一度ではうまくいかないのでまた出直さなければいけないかと覚悟していましたが、あまりにもスムーズだったので驚きました。

医師の診察

この診療所を管轄している地域をさらに3分割し、それぞれの地域によって医師が決まっているそうです。しかし、患者数がとても多く一人では診きれないため、他の医師がヘルプに来ているそうです。わたしを担当してくれたのはそのヘルプの医師で、とても丁寧な医師でした。

その診療所にいる医師はすべて総合診療医であり、子供から大人・妊婦まですべてを診るそうです。そこで対応しきれなかったり、重症の場合は総合病院などのハイレベルな医療施設に紹介されるそうです。

妊婦の場合、とくに問題がなければ6~7ヶ月までは診療所の医師が診察し、それ以降に産婦人科医がいる総合病院に行くことになるようです。

わたしを担当してくれた医師は血圧・体重を図り、子宮底長の測定、ドップラーでの胎児心音の確認をしてくれました。

わたしは始めは産婦人科医じゃないことに少しがっかりしましたが、血圧を測ってくれただけで感動しました。

なぜなら旦那が扁桃腺炎で私立のクリニックに行った時の医者は熱も血圧も図らなかったし、私が最初に妊婦健診を受けた医師も血圧測定すらしませんでした。

血圧を測るというのはものすごく基本的なことで、妊婦に高血圧があった場合さまざまなリスクがあるのにそれをみないってどうなの?と思っていたので、この医師がすべて本来の妊婦健診ですべきことをしてくれたので、彼女が産婦人科医でなくても私はとても安心できました。

そして母子手帳のようなものももらいました。日本の母子手帳のように中身は豊富ではありませんが、検査結果や受診の記録が書き込めるようになっています。よっぽど私立の産婦人科医より丁寧です。

cartão de gestante brasil(ブラジル版母子手帳)

検査

私立のクリニックの場合、血液検査はそこではできないので検査センターに行き、後日結果をもって再受診という形になります。しかし、ここでは血液検査も無料でその場でできるためとてもスムーズです。本当に初めからここにきておけばよかったなと思いました。

旦那もその時に、C型肝炎、B型肝炎、HIV、梅毒などの感染症の検査をしましたが、30分ほどで結果をもらうことができました。

ブラジルの場合、エコーの検査は妊娠初期・中期・後期に各1回行うことになっています。妊婦のエコーの検査はこの診療所では設備がなくできないそうで、その時は別の施設に行くように案内されるそうです。

まとめ

ブラジルの公立の医療機関は、CPFと住所証明があれば無料で受診することができます。しかし、緊急時以外は総合病院ではなく居住地管轄の診療所を受診しなければいけません。救急車も無料です。

しかし、より充実した医療が受けたい場合や医療機関を選びたい場合は個人医療保険に加入できますが、保険がきかない期間があるので注意が必要です。

出産を公立病院でなはく個人病院でしたい場合は、妊娠前に個人保険に加入しなければなりません。